第34章 狐と蛇(明智光秀)
忍「あんたより身分低いのが、
神にすがって懸命に生きているんだから、
その神をその子から奪うのはやめなさい。
あとうちにばら撒いているそのお金。
うちじゃなくてそういう子に使いなさい。
でなければとてもあんたのモノになれなんて、
了承できないわよ」
忍はため息をついた。
嘘は言ってはいない。
信長が天下布武をなすといっているが、
その影で犠牲になる民が、
自分の家にすがりにきている。
光秀の力や金を使えば、
その民が少しは減るだろうとそう思ったのだ。
神ではなく人間ではないと、
叶えられない願いもあると、
忍は光秀を諭すようにそう告げた。
光秀「つまりお役御免となれば、
俺のモノになってくれるんだな?」
忍「お断り」
光秀「・・・絶対俺のモノになる、
と言わせて見せよう」
忍「はいはい」
忍はあしらうと、
神社の中に消えてしまった。
光秀もため息をつき安土城へと戻る。
狐と蛇の戦いはまだ続くのだった。
おしまい