第34章 狐と蛇(明智光秀)
光秀「いたずら・・・俺か」
忍「そうよ」
願い事をいたずら扱いされたことに、
思わず光秀は笑う。
忍「笑わない。迷惑行為よ」
光秀「これはすまない。
次は娘の特徴も、
きちんと書くことにしよう」
忍「いやまた来られても、
困るからやめなさい。
大体あんたほどの男が、
会いたい娘って誰よ?」
光秀「一夜の逢瀬で会った娘だ。
俺と会い、身体をつなげて突然消えた。
白くて美しい変わった娘だ」
忍「・・・その人とはもう会えない。
諦めなさい」
光秀「なぜだ?こうして会いに来てくれたのにか?」
忍「住んでいる世界が違うのよ。
神様に近づきすぎて、
その身を破滅させる前に、
このことは忘れなさい」
忍は光秀に向ってそう言い放った。
そしてそのまま娘は、
またふわりと消えていた。
光秀「住んでいる世界が違う・・・か・・・」
光秀は絵馬を握りしめていた。