第30章 女城主の決断(信玄編)
城下の町で、
信玄と忍はただの男女のように、
店を回っていた。
いつしか緊張をしていた忍も、
年相応の少女の顔で笑うようになっていた。
そんな時だった。
忍「・・・っ」
ふいに忍は顔を歪ませる。
信玄「どうした?」
忍「なんでもありません・・・」
信玄「なんでもなくないな・・・
姫ちょっと失礼するぞ」
信玄は再び忍の身体をするりと横抱きにすると、
忍を一軒の隠れ家に連れ込んだ。
そこは信玄が忍との、
会合のために使っていた簡易の宿だった。
信玄「姫ちょっと見せてみろ」
信玄はそういうと忍の履物を脱がす。
忍の白い足に赤い傷ができていた。
信玄「慣れない履物で痛めたのか・・・」
信玄はそういうとどこから薬箱を持ち出して、
その足に薬を塗っていく。
忍「・・・っ」
信玄「沁みるか?ちょっとだけ我慢な」
信玄はそういうと足に包帯を巻いた。
忍「大げさではありませんか?」
信玄「姫の足になんかあったら大変だろ」
信玄はウィンクをしながらそう返す。