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イケメン戦国短編集

第28章 女城主の決断(顕如編)


悲愴感をにじませる忍、
国と民を焼かれ、
呆然自失のまま彷徨った忍、
そして今の人形となった忍。
顕如は一度たりとも彼女の笑顔を見たことがない。
顕如のために力をつけ褒めた時に、
かすかに笑みを浮かべることはあるが、
だがそれですら作り物の笑顔でしかない。
忍から奪った自分が、
忍から与えてほしいなどと、
勝手な男だと顕如は自嘲していた。
だが、忍の笑顔を見たら、
少しだが救われる気がしたのだ。
そして同時に思う、
彼女の笑顔はきっと危険であろうとも。
忍をそばに置く理由は、
同情や傷の舐めあいだけでないことに、
顕如は薄々気づき始めていた。
だからこそ笑顔を見たい、
見るべきではない、
そんな矛盾した思いを抱くのだと・・・
顕如は眠れぬまま、
ひとりそんなことを思うのだった。


おしまい
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