第28章 女城主の決断(顕如編)
ある日の晩
忍「け・・・顕如殿・・・」
忍は衣を脱ぎ、
顕如の上に跨っていた。
顕如の手先となったあの日、
忍は忍びの道へと、
足を踏み入れていた。
忍は当初女というのを捨てる気でいたが、
いろんな手段を欲した顕如は、
彼女に女としての忍びとして、
生きる道を選ばせていた。
今まで男として生き、
箱入り当主として過ごしてきた忍にとって、
それは生半可なものではなかったが、
国や民を失いすでに失うものはない、
忍は忍びとしての力をすぐに身に着けていた。
女の忍びにはこういう房術もあるのだと、
顕如は彼女を試すようなこともしていた。
それが彼女の覚悟を試すものなのか、
彼女に修羅の道を歩ませまいとした、
顕如の慈悲によるものなのか、
顕如にも忍にももはや分からなかった。
だが国を焼かれ、民を失い、
それでも一人生き残り、
動く人形となってしまった今の忍には、
そんな顕如の試す言葉も慈悲の言葉も、
伝わるはずもなく、
忍はただひたすら顕如と、
修羅の道を歩むだけだった。