第28章 女城主の決断(顕如編)
顕如「すまないな」
忍「まあどのみち、
どちらかの龍に、
食われる運命だったんで、
それが遅いか早いかでしょうけどね・・・
顕如殿お願いがあります」
顕如「なんだ?」
忍「私を顕如殿の一味に加えていただきたい」
顕如「お嬢さん何を言っている」
忍「どのみち龍に殺される身ですし、
死なばもろともですよ」
忍の言葉と表情に、
顕如は唖然としていた。
顕如「(・・・・・・完全に気を病んでしまったか)」
死なばもろともそう語る忍の目からは、
完全に光と生気が消えており、
さながら動く人形のようだった。
顕如は自分の行いで、
一人の娘が気をやってしまったことに、
一瞬だけ心を痛めた。
だが忍のいう死なばもろともという言葉に、
修羅の道を進む身としては分からなくもなかった。
戦わせるにはあまりにも弱すぎる子ではあるが、
飾りとはいえ元城主であり、
なおかつ女子というならば、
使う手段はいくらでもあるだろうと、
顕如はそんなことを思っていた。
顕如「もし何かあっても助けはせんぞ」
忍「それでいい。
ともに地獄へまいりましょうぞ」
顕如と忍は飾りの仮初ではなく、
本当の意味で同盟を結ぶのだった。