第28章 女城主の決断(顕如編)
顕如「待て」
忍「なんですか・・・?」
顕如「お前も怪我をしているのであろう?
手当てをしてやろう」
顕如はそういうと、
忍の着物の衿に手を伸ばす。
忍「や・・・なんで・・・」
顕如「お前さんと同じきまぐれだ。
暴れるな。傷がひどくなるぞ」
顕如はそういうと、
有無を言わさずその着物を剥いだ。
顕如「!?お前さん」
忍「・・・・・・」
顕如は着物の下から現れた、
想定外のふくらみに戸惑いの声をあげた。
忍はその声に視線を逸らす。
顕如「・・・お嬢さんだったのか」
忍「いけないですか?」
お嬢さんという言葉に、
忍はただその言葉だけを紡ぐ。
顕如「いや・・・堪忍な、お嬢さん」
顕如はそういうと、
忍の素肌に薬を塗っていく。
ふくらみにも触れ包帯を巻いていくが、
そこにはいやらしい感情などなかった。
顕如「さて手当てはすんだぞ。お嬢さん」
忍「どうも」
忍はそういうと、
乱れた着物を素早く直した。
顕如「お嬢さん行く当てはあるのか?」
忍「・・・あるように見えるんですか?
誰かが国を焼いてくれたおかげで、
私も逃走の身ですよ」
顕如の問いかけに忍は皮肉で返す。