第1章 赤き秘めたおもい(顕如)
行為の後、顕如と忍は何となくまどろんでいた。
こうして二人で少しだけ過ごすこともあれば、
身体を重ねた後、すぐに別れることもある。
それが二人の関係だ。
信長の妹であり、文字通り織田の姫として生まれた忍
その兄への復讐に燃える顕如
身体を重ね、お互いの身分を知っているがゆえに・・・
初めて身体を重ねた日、
出会ったのは偶然だった。
その時は、織田の姫と復讐者であることをお互い知らず、
ただ何となく一夜の逢瀬にするつもりで、
身体を重ねあっただけだった。
だが顔に傷のある男と黒髪赤目の美少女という印象は、
一夜の逢瀬にするにはあまりにも強く、
こうして出会えばどちらともなく、
身体をつなげるという関係になった。
それは忍が織田の姫、
顕如が兄の命を狙う敵であると知ってからも、
やめることはなかった。
やめる機会はいくらでもあったはずなのに・・・