第25章 女城主の決断(謙信編)
謙信「泣くな。すまなかった」
謙信は袴をさばいて座ると、
泣く忍に詫びを述べる。
忍「ち・・・違うんです」
謙信「何が違うのだ?
俺が相手で嫌であったのだろう?」
忍「そ・・・そんなことじゃないんです・・・」
謙信「何だ?初めてをこんな形で奪われたから、
泣いていたのではないのか?」
忍「目隠しとか・・・知らないまま、
こうなったのが嫌だったんです・・・
どうせなら謙信殿を見たかった・・・」
忍はぽつりと、
そんな言葉を放つ。
されど忍が放ったその言葉が、
謙信という雄にとって、
どれほど危険な言葉であったか、
先ほどまで生娘であった、
忍には知らないことであった。