第22章 鬼は天を笑う(織田信長)
信長「やっと見たか。
今貴様を抱いているのは俺だ。
俺を見ろ。俺を感じろ。
そして俺に溺れろ。
でなければ許さん」
忍「や・・・です・・・」
信長「いやは許さん」
忍「そんなの横暴です」
信長「なぜそこまで頑なに拒む」
忍「・・・信長様が私を手籠めにするのは、
私が敵国の間者だから・・・でしょう?」
信長「何を言うておる」
忍「・・・用が済めば、
いらないのでしょう・・・?
あなたも、そして御館様も・・・」
信長は忍の様子に目を見開いた。
それは初めて見せる、
忍の泣き顔だったからだ。
忍「・・・最初は本当にあなたを、
殺す気で私はきました。
けれど・・・安土でみなといるうち・・・
その覚悟が揺らぐのを感じました・・・
だけど私は敵です。
皆が必要としている私は・・・
本当の私じゃない。
偽って騙していた私です。
なのに・・・なぜ信長様は、
私にそんな命令を与えるのですか、
本当の私に価値なんかないのに・・・」
忍の目を伝う雫は、
忍の身体のみならず、
信長の身体にも落ちていく。