第20章 狐の手ほどき~後編~(明智光秀)
光秀「俺にはあの娘は眩しすぎます。
あの者が俺のそばにいたところで、
待っている未来は血に濡れた道かと」
信長「ふむ・・・一理ある。
だがあの娘の幸せを、
貴様が決めていい理由にはならんな」
政宗「いらねえってんなら、俺がもらうが?」
政宗がそんなことを言った瞬間だった。
光秀は腰に下げていた銃を抜き、政宗に向けた。
光秀「冗談がすぎるぞ。政宗。
お前の隣にいてもあの娘は幸せにはならん。
血に濡れた道をあの娘に歩ませる気か」
その目は愛する者を守ろうとする男の目だった。
政宗「おーこわ・・・男の悋気は見苦しいぞ」
信長「政宗がダメというのなら、
俺が夜伽の相手をさせてもよいが?」
信長がそうつぶやいた瞬間、
光秀は目だけで信長を睨みつけた。
光秀「冗談が過ぎます。御館様」
信長「・・・冗談がすぎるのは、貴様であろう?
そこまで執着しているあの娘を手放せるのか?」
光秀「・・・どうやら俺も焼きが回ったみたいですね。
気まぐれに世話などするものではなかった・・・」
政宗「本気でそう思ってんのか?」
光秀「本気であったらどんなに良かったものか・・・」
光秀は自嘲するような笑みを浮かべる。