第3章 天邪鬼の仕返し(徳川家康)
もやもやとそんなことを考えながら、
俺は忍に促され、
町はずれにある一軒の宿に入った。
色事に使う宿屋があることを噂では知っていたが、
こんな奴と使いたくはなかったと思う。
そもそも男同士だし・・・
忍「この日をずっと待っていたんだ。
今川が滅ぼされて、
こんな日こないと思ったけど」
家康「どうでもいいけど・・・
いつまでも竹千代のままだと、
そう思わないでくれる?」
俺は静かに忍を押し倒した。
そういうつもりはなかった。
ただ分からせたかっただけだ。
もう俺はあの頃の“竹千代”ではないってことを。
あの時脅威でしかなかった男よりも、
俺は背は高くなっているし、
力だってこいつよりついたのだと、
そんなことを実感した瞬間だった。