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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第10章 【許されざる呪文】


 すぐにハーマイオニーとロンが駆けつけて、クルックシャンクスをキャビネットから引きはがした。ロンは苦労の末やっとスキャバーズの尻尾を掴んでキャビネットの隙間から引っ張り出すと、ハーマイオニーに見せつけた。

「見てみろよ!!!あの大食いがこんなにやせ細って!そのクソ猫を二度とスキャバーズに近づけるな!!」
「ロンッ!猫はネズミを追いかける生き物なのよ!?クルックシャンクスは本能に従ってるだけだわ!!」
「本能!?笑わせるな!こいつはスキャバーズに恨みでもあるんだ!じゃなきゃスキャバーズの話をしたとたん襲い掛かって来るもんか!!!」

 カンカンに怒ったロンは、スキャバーズを両手で包み込むと、それ以上何も言わずに大股で男子寮への階段を上って行った。ハーマイオニーは呆然と立ち尽くしていたが、やがて黙って女子寮へと姿を消してしまった。
 取り残されたハリーとクリスは、いったいどうすれば良いのか分からず、顔を見合わせると、そろってため息を吐いた。
 
 喧嘩の絶えない2人だったが、この事件は思ったよりも大事だった。ロンとハーマイオニーは次の日の『薬草学』の時間もずっと口をきかず、昼食の時間ハーマオニーが恐る恐るスキャバーズの様子を聞いた時も、ロンは「僕ベッドで震えているよ」とつっけんどんに答えただけだった。

 その次の授業である『変身術』の授業でも、2人はハリーとクリスを間に挟んで座り、一言も口をきかなかった。それも気がかりであったが、ハリーにはもっと気がかりなことがあった。それは授業の最後にマクゴナガル先生に「ホグズミードに行けるかどうか」を聞くことだった。
 ハリーは授業が終わると、生徒がだんだん少なくなっていくのを待ちながら、機会を窺っていた。しかし生徒はなかなか減らず、寧ろ輪になって騒いでいた。いったいなんだろうと思いハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人が輪の中に入ると、輪の中心でラベンダーが泣いてた。その傍で、パーバティが慰めている。

「いったいどうしたの?」
「たった今、家から手紙が届いて……家で飼っていたウサギのビンキーちゃんが……死んじゃったって」
「可哀相に……」
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