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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第1章 【The summer vacation ~Ronald~】


 木陰のベンチに座りながら、2人はゆっくり味わう様にしてアイスクリームを食べた。ふと隣を見ると、クリスはどこか遠くを見るような眼で空を眺めていた。

「どうしたの?クリス、なんかボーっとしてるけど」
「ん?あ、いや……雲を見ていたら、ちょっと嫌なことを思い出してな」
「嫌なこと?」
「うん――雲って、何だか自分自身の様に思える時があるんだ。嫌でも流されるまま、純血と言う生き方を進んでいくようで……だから、あんまり好きじゃないんだ」

 その言葉を聞いた時ほど、ロンの頭の上に大きな石が降ってきたような気がしたことは無かった。喉元には石ころが詰まり、なんて言っていいのか分からない。
 確かにクリスは純血主義の家系で産まれ、将来の結婚相手どころか、洋服さえ他人に決められている。この2年間婚約破棄を言い続けていたけれど、話しは全く変更の兆しさえ見えていない。このままだとクリスは、本当にマルフォイと結婚させれられ、純血の子を産む道具のような役割を与えられてしまう。友人として、そんな事は絶対に嫌だと思った。

「それなら!家に逃げてくれは良いよ!!」
「えっ!?」

 突然口をついた言葉に、ロン自身が驚いた。しかし前言撤回はできない。ロンは照れ隠しに頬を指でかきながら言葉を続けた。

「あっ、いや――その――クリスさえ良ければだけど、もし家が嫌だったら僕ん家に家出しれくればいいよ。確かに家は貧乏で、家も狭いかもしれないけど……でも、クリスが自由に暮らしていくだけの事はしてあげられるよ!!」

 そうだ、彼女には自由が必要だ。今日1日一緒に過ごして分かった。クリスが本当に活き活きとして暮らす為には、純血主義の家から離れなければならない。その為にも、絶対にクリスをマルフォイ家なんかにやるもんかとロンは強く思った。

「っ――ふ、ふく、ふふふ、あはは、あーはっはっはっはっは!!」

 突然笑い出したクリスに、ロンは何か変なことを言ったのかと狼狽えた。クリスは腹を抱え、うっすら瞳に涙をためている。

「そうか、そうだな――そんな簡単な手があったなんて今まで気づかなかったよ。ありがとうロン」

 そう言いながら、クリスはそっと手を出した。
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