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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第1章 【The summer vacation ~Ronald~】


 しかしそんな事クリスにはお構いなしだった。店に入ると、クリスの瞳に炎が灯っていた。

「よーし、それじゃあお互いに似合いそうな服を選んだら、10分後にここに集合だ、良いな?」

 それだけ言うと、クリスは洋服の並みの中に消えて行ってしまった。仕方なく、ロンはマネキンを見ながら、今日のクリスに似合いそうな服を選ぶことにした。
 そして10分後、お互いの洋服を選んだロンとクリスは、両腕に洋服を抱えて集合場所に戻ってきた。

「よし、それじゃあお互い試着してみよう!」

 持っていた洋服を交換すると、お互い試着室に入った。クリスの選んだ服は、ロゴの入ったTシャツに、フードの付いたノースリーブのパーカー。それに黒のダメージジーンズと銀のバックルの目立つベルトと言った、若者らしい格好だった。

「ロン、もう良いか?」
「え?あっ、うん」

 「ジャーン」と言って試着室から出てきたクリスは、ホットパンツに、レースの黒いキャミソール。そしてオフショルダーと言う、ちょっと露出度が高い格好だったが、クリスの細い手足だと嫌味のない格好だった。

「似合うか?」
「う、うん……まあまあ、かな」
「まあまあ~?それじゃあ今度はバッチリ似合う格好にしてもらうぞ」

 そう言って3回くらいお互いの服を試着しあっただろうか、遊んでいるのがバレてだんだん店員の目が厳しくなってきたので、怒られる前に店を出ることにした。

「あー、楽しかった。やっぱりマグルの服は良いなあ、開放的で」

 そう言えば、魔法使いの子供たちでも、普段の時はマグルの子供と変わらない格好をしていることが多いが、クリスは普段でもローブや、それに似た長いワンピースを着ていることが多い。こんな所でも『純血主義』という家に縛られているのかと思うと、また胃に石ころが詰まったような重い気持ちになった。
 そんな事はつゆ知らず、クリスは明るい笑顔で振り返った。

「ロン、次はこっちだ!」

 そう言ってまた横断歩道を無邪気に駆け出した。金色の髪が風になびき、太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。素直に綺麗だ、とロンは思った。その髪を追いかける様にして歩いて行くと、たどり着いたのは大きな公園だった。何人ものマグルが、公園で思い思いの休暇を楽しんでいる姿が見える。
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