第5章 【second contact】
「ハリーは命を狙われているのよ、それなのに城の外に出るなんて馬鹿げてるわ」
「うん、僕もそう言われると思う」
「でも、せっかくのホグズミードだぜ?ハリーにも楽しむ権利くらいあるだろう」
「私もハーマイオニーに賛成だ。ブラックが捕まるまで、ハリーは城にいた方が良い」
2対1の結果で、ハリーのホグズミード行きは塵のごとく消え去った。それから4人は喋ろうともせず、ぼんやり外を眺めたり、本を読んだりして過ごした。
1時になり、お腹がすいてくると、沢山の食べ物やジュースを乗せたワゴンを押した魔女がやって来た。ハリーは例年通りガリオン金貨を出しておやつを山ほど買うと、それを皆に分けてくれた。しかしクリスはウィーズリー夫人の作ってくれたサンドウィッチを食べることに決めていたので、お菓子は少しだけにしておいた。
「この人……起こすべきかな」
沢山の食料を前に、ロンがたずねた。つぎはぎだらけのローブを着た先生は疲れていそうだったので、休ませた方が良いようにも思えたが、それ以上にお腹がすいていないのか気になった。ハーマイオニーがそっとルーピン先生に声をかけたが、先生はびくともしない。するとワゴンを押していた魔女が微笑みながら答えた。
「大丈夫よ、目を覚ましてお腹がすいているようなら、私は一番前の運転席の所にいますからね。いつでも声をかけてちょうだい」
そう言うと、魔女はまたワゴンを押してコンパートメントを後にしてしまった。
列車はどんどん北へと向かって行き、ぽつりぽつりと雨まで降ってきた。やがてその雨は景色が見えなくなるほどの大雨へと変化していった。しだいにコンパートメントの中が寒くなってきて、みんな上着を1枚重ね着するほどだった。吐く息も白くなり、みんなぴったりとくっ付いて寒さをしのいだ。
「もうそろそろ着く頃じゃないのかな?」
黒い暗雲が垂れ込める空を見ながら、ロンが言った。大雨の上、強い北風がふいている。こんな悪天候の中を、馬車に乗ってホグワーツ城まで進むなんて、今年は外れ年だなとクリスは思った。そうこうしている内に、列車はどんどんスピードをゆるめ、止まってしまった。