第34章 【新たなる出会い】
そして週が明けると、クリスは医務室を退院した。天気も良く、ディメンターも「罪もない生徒に手を出した」と言う理由で魔法省が全て元のアズカバンに引き戻らせると、校内中が明るくなった。
しかしクリスの心中は荒れていた。もし、予言通りピーター・ペディグリューが『例のあの人』の元に戻って、力を取り戻したら……自分はどちらの陣営に着けばいいのだろう。
父やドラコ達家族のいる闇の陣営か、それともダンブルドア率いるハリー達の陣営か。家族は裏切れない、しかし闇に手を貸したくはない。それに加えてこの体に流れる血――母の血か、それとも父の血か。クリスには判断しかねた。
そしてとうとう今学期最後の日がやって来た。クディッチ杯も取り、グリフィンドールは何年かぶりの大勝利で文句無しの寮杯を獲得した。
クリスはまずまずの点数で試験をパスした。ハリーもロンもクリスより気持ち下くらいの点数で試験をパスした。ハーマイオニー大先生は、100点満点中300点を超える点数を沢山とって試験をパスした。これだけは頑張りが実を結んだんだと言ってあげたかったが、あれほどヒステリックになる位なら勉強などしないでほしいと正直思った。
それを知ってか知らずか、ハーマイオニーが驚くべき宣言をした。
「私、『マグル学』を辞める事にしたわ。マクゴナガル先生とお話しして、その方が良いって事になったの」
「マジかよ!?だって君、100点満点のテストで320点をとってパスしたって言ってたじゃないか!」
「だって『占い学』と『マグル学』を辞めれば普通の時間割になるわ。『タイム・ターナー』を使って思ったの。あれ、とてもじゃないけど使いこなせないわ。頭が変になりそうだったもの」
そう言って、ハーマイオニーはご馳走をパクリと口に運んだ。ハリー、ロン、クリスの3人は「十分変になっていた」と言いたかったが、言うと後が怖いので3人とも何も言わなかった。