第34章 【新たなる出会い】
それからと言うもの、クリスは1週間丸々医務室で過ごした。体の傷は癒えたが、心の傷は中々癒えてはくれなかった。1週間、ハリーとドラコが代わる代わる見舞いに来た。
ハリー達は、クリスが気を失ってから何があったかを教えてくれた。
あの晩、ハーマイオニーが全ての教科を取るために使っていた『タイムターナー』という道具を使って、時間をさかのぼり、バックビークに乗って、スネイプの手によって塔に閉じ込められていたシリウスを救い出した事。
そしてディメンターに襲われたクリス達を助けてくれたのは、『タイムターナー』で時間をさかのぼったハリー自身だったと言う事。ハリーは自分が父親と同じ牡鹿を守護霊として呼び出した事を教えてくれた。
ドラコはというと、初めて見舞いに来た時、ベッドサイドに寄りかかって座るクリスを見て、眼に涙を溜めて抱きついてきた。どうやら本気で心配してくれたらしい。
しかし、ドラコはやっぱりドラコで、2回目から見舞いに来るたび「君は見る目が無い」だの「万が一狼人間に噛まれていたらどうなっていたか」と繰り返し説教しに来た。
クリスはそれをチャンドラーで鍛えた右から左へ聞き流し戦法をとって、頭の片隅にさえ留めなかった。そして来るたび、左手の薬指にはめられた指輪を見て「絶対に無くすんじゃないぞ」だとか「傷1つつけるなよ」と言ってクリスをうんざりさせていた。
そして最後の日、ハリー達が来たと思ったら、その後ろにダンブルドア校長が控えていた。クリスは何事かと思って少々身構えたが、ダンブルドアはにっこり笑っていた。
「なに、そんな固くならんでも良い。実はハリーから気になる事を聞いてのう、君もその場にいたと言うから話しを聞きに来たんじゃ」
「話しって……なんですか?」
「実は例の日に、ハリーがトレローニー先生から予言を聞いたと言っていてな。それは本当かね?」
そうだった。シリウス達の件ですっかり忘れていたが、あの日、最後の期末テスト直前、ハリーに呼び出され教室に行くと、いつもと違う雰囲気のトレローニー先生をみたのだった。