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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第4章 【運命の人】


「おや、これはこれは驚いた。こんな所でいったい何をやっているんだい、クリス」
「あら……クリス、もしかしてこの子達があなたのお友達だなんて言わないわよね?」
「いえ……その……」
「ぼ、僕たちクリスの親友です!」

 何も言えないクリスに代わって、ロンが答えた。ハリーもくしゃくしゃの髪を撫でつけ、鼻についたアイスクリームを拭うと、まるでクリスを守るかのように前に出た。

「僕たち、何もやましい事なんてしていません。ただクリスとアイスクリームを食べていただけです」
「君たちには聞いていない。クリス、ドラコの誘いを断ってポッター達と買い物をしていたのか?」
「それは……その……はい」
「クリス、貴女はいつからそんな聞き分けのない子になってしまったの?」

 ルシウスとナルシッサの両方から攻められ、クリスは肩を丸めて小さく縮こまってしまった。しかしこのままではいけないと思い、クリスは思い切って自分を奮い立たせた。

「私は、ただ……同じ寮の友達と一緒に過ごしたいだけです。ドラコとも……許婚より友達でいたいと思っています」

 蚊の鳴く様な小さい声だったが、クリスは初めて自分の思っていることを2人に告げることが出来た。心臓は早鐘のように鳴り響き、耳に煩いくらいだったが、とにかく大きな初めの一歩を踏めたと思えた。
 クリスは怖くて上目がちにチラリと2人の顔を見たが、ルシウスは眉間にしわをよせ、ナルシッサはこれ以上ないと言うくらい悲しい顔をしていた。それを見ると、クリスの胸の辺りが痛くなってきた。だが婚約に反対していると言う意思を見せなければ、本当にホグワーツを卒業した後直ぐにでも結婚させられてしまう。この2年間で、婚約の話は一向に破棄の方には動いていないのだ。クリスはグッと拳を握りしめた。

「……そうか、やはり2年前に無理矢理にでも組み分けをやり直させるべきだったな。――クリス、今日はこのまま見逃してやるが、明日キングズクロス駅に行くのは我々と一緒に行くぞ。いいな」
「は――」
「明日はパパ!――じゃない……父が魔法省の車を手配してくれたので、僕たちみんな一緒に行きます!」
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