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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第30章 【在りし日の思い出】


「しかし、ダンブルドア先生が校長になって、事態は変わった。ダンブルドア先生は、きちんとした予防措置さえ取れば私が入学しても良いと仰って下さった。そして……私を隔離する為にこの屋敷が建てられたんだ。それに校庭にあるあの『暴れ柳』は、私がここに続くトンネルを誤魔化すために植えられたのだ」

 皆黙ってルーピン先生の話しを聞いていた。聞いていないとすれば、ロンの手の中で暴れているスキャバーズだけだ。
 スキャバーズだけは、なんとかロンの手から逃げ出そうとキーキー喚いて身をよじらせていたが、ロンはしっかりとスキャバーズを押さえ、目はルーピン先生に釘付けになっていた。

「1か月に1度、私は城から連れ出され、変身しても誰にも危害を加えさせない為ににこの屋敷に閉じ込められた。――それは狼人間にとって苦痛極まりないことだった。襲うべき対象の人間と隔離され、代わりに私は自分を噛み、引っ掻き、鳴き声を上げた。村人はその声を聞いて、恐ろしいゴーストが住み着いていると勘違いして、屋敷から遠ざかった。ダンブルドアはそれを好都合とばかりに煽り、お蔭で今でも村人はここを遠ざけている」

 ルーピン先生の話しは、突拍子も無いと思いながらも、どこか引きつけるものがあった。それはきっと先生の話が、真実だからだろう。
 スキャバーズの鳴き声を無視して、先生は話しを続けた。

「しかし、変身する苦痛さえ除けば、あんなに素晴らしい時間を過ごしたことは無かった。無理だと諦めていた私にも、親友と呼べる仲間ができた。シリウス・ブラック。ピーター・ペディグリュー。そしてハリー、君のお父さんでもあるジェームズ・ポッターだ」
「僕の……お父さん?」
「ああ、そうだ。――私達はルームメイトだった。3人はそのうち、私が月に1度部屋を離れどこかに行ってしまう事に疑問を持ち始めた。まあ、当たり前と言ったら当たり前の事だ。しかし私はどうにか言い訳を考えて3人に自分が狼人間だと隠していた。もし3人が自分の正体を知ったら、私から離れていってしまう、私を差別的な眼で見る、それが怖くて仕方なかった。しかし3人は……ハーマイオニー、君と同じように本当の事を悟ってしまった」
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