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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第28章 【シリウス・ブラック】


 4人はぴったりくっ付いたまま、陽が沈み、暗くなり始めた芝生の上をゆっくりと歩いた。
 クリスの中で罪悪感が渦を巻いて体を蹂躙していた。どうしてもっとルシウスおじ様を説得しようと努力しなかったのだ。ルシウスおじ様を説得できれば、委員会の決定も覆すこともできたのに。
 それかドラコに頭を下げて、どうかバックビークを許してくれと懇願すれば良かった。そうすれば、こんな事にはならなかったのに。全部、全部自分が悪いんだ。出来たのに、何もやろうとしなかった。クリスは後悔で消えてしまいたくなった。

 黄昏の中、ゆっくり城へ向かう4人だったが、突然ロンが足を止めた。暴れるスキャバーズをどうにか胸のポケットに抑えようと悪戦苦闘している。

「コイツ、なんで大人しくしないんだ!?」
「ロン、お願い……早くして」
「僕だってそうしたいけど――コイツが、暴れて、言う事を聞かないんだ!」

 スキャバーズはキーキー喚きながら、身をよじりもがいている。それを何とかしようとロンがスキャバーズを鷲掴みにした。するとスキャバーズはより一層暴れて手が付けられなくなった。

「この馬鹿野郎、いい加減におとなしくしろ!ばれちゃうだろう!!」
「ねえ、ロンお願いよ。早く行きましょう」

 その時、背後から扉が開く音がして、話し声が聞こえてきた。とうとう処刑の時間がやって来てしまったのだ。ハリーが声を押し殺しながら注意した。

「ロン!」
「分かってるって、だけどコイツが――黙れって、ハグリッド達に聞こえちゃうだろ!」

 クリスは出来る事なら耳を塞ぎたかった。スキャバーズがどんなに喚いても、ダンブルドア校長達の声をかき消す事は出来なかった。
 ガヤガヤと話し声が混じり、一瞬だけ静かになったと思ったら、次の瞬間――シュツと言う音の次に、ドサッと斧を振り下ろす音が聞こえた。クリスは目の前が真っ白になった。

「あ、あの人たち……ついにやってしまったのね」

 ハーマイオニーはショックを隠し切れない様子で囁いた。ハリーもロンも、ただ呆然と立ち尽くしいていた。
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