• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第28章 【シリウス・ブラック】


「奴らが来おった――ダンブルドア校長先生も一緒だ……」

 4人は一斉に窓の外を見た。遠くの方から、数人の魔法使い達がやって来ている。先頭はダンブルドアだ。その次が魔法省大臣のファッジで、その後ろに委員会のよぼよぼの年寄りが1人と、死刑執行人であるマクネアが続いている。

「お前らはもう行け、ここに居るってばれたらまずい事になる」
「でもっ――」
「でもも何もねえ!いいから行くんだ、裏口から出してやる。いいか、絶対に振り返るんじゃねえぞ」

 それでも4人は動かなかった。震えるハグリッドの手が、4人の足を縛り付けている。ハグリッドは裏口の扉を開けて4人を無理矢理押し出そうとした。その時、何かを感じたのか、裏のカボチャ畑に繋がれていたバックビークがせわしなく地面を引っ掻いている。

「……大丈夫だ、ビーキー。俺がついている」

 ハグリッドがひどく優しい声で言った。それを聞いただけで、クリスは涙が出そうになった。

「ハグリッド、本当にもう僕達に出来ることはないの?」
「僕、証言するよ!本当は何があったのかって!!」
「バックビークを殺すなんて絶対にダメよ」
「ハグリッド、せめてマント越しでもいい、傍に居させてくれ!」
「行け!!!」

 ハグリッドが低い声でハッキリと言った。

「いいから行くんだ!お前さん達が面倒ごとに巻き込まれたらますます困ることになる!それでなくとも最悪の気分なんだ!!」

 ハグリッドは4人に無理矢理『透明マント』を被らせると、突き放す様に叫んだ。その勢いにおされ、皆よろよろと小屋を出ると、ハグリッドが「真っ直ぐ城に向かうんだ、絶対に聞くんじゃねぇぞ」と言い残し扉を閉めた。

 なんて言って良いのか分からなかった。泣いていいのか、それとも怒ればいいのかも分からなかった。ただ、呆然と小屋の中から聞こえる声が、酷く非現実的なものに聞こえた。マントの中で、ハーマイオニーが涙声で呟いた。

「お願い、もう行きましょう。私――私、これ以上耐えられないわ」
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp