第3章 【Fast contact】
まず初めに、フローリシュ・アンド・ブロッツ店によって、教科書を買った。その次に薬問屋によって魔法薬学の材料を補充し、文房具屋で新しい羽ペンとインクを買った。それからゾンゴの悪戯専門店に行こうとした途中、ハリーが急に足を止めた。
「どうした、ハリー?」
「いや、あれなんだろうと思って……」
ハリーの視線の先を見ると、高級クィディッチ用具店に大行列が出来ていた。皆ショーウィンドウを覗いて、なにやら話し込んでいる。ハリーは「ちょっといいかな?」と言って、行列の中に飛び込んでいった。正直クィディッチには興味はなかったが、ここで1人待たされるのも嫌だったので、クリスはハリーの後について行った。すると、ショーウィンドウに最新作の箒が展示されていた。
「ハリー、さては欲しいんだろう?」
「えっ?あ、うん……でも値段も分からないし、僕にはニンバス2000があるから」
そう言いながらも、ハリーの目は最新作の箒にくぎ付けだった。おかげでそこからハリーを引っ張り出すのに一苦労した。それから2人でフローリアン・フォーテスキュー・アイスクリーム・パーラーでアイスを食べていると、もう夕日が沈み始めていた。
「もうそろそろ帰ろうか」
「うん、そうだね」
新学期の荷物を両手に抱え、2人は漏れ鍋へと帰っていった。その途中、またシリウス・ブラックの手配書を見つけた。
「そう言えばハリー、知っているか?この手配書の事」
「知ってるよ、シリウス・ブラックでしょ。「夜の騎士バス」の中で話を聞いたよ。なんでも一度の呪文で13人もの人を殺したって。しかもヴォ……『例のあの人』の一の子分だったらしいよ」
「でも賞金1000万ガリオンって書いてあるじゃないか。どうにかして捕まえられないかなあ」
クリスがため息まじりに希望を述べた。無理なのは百も承知だが、それがあればドラコの許婚と言う屈辱的地位を脱却できるかもしれない。だがハリーの返答はクリスと違い現実的だった。