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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第26章 【クィディッチ優勝杯】


 そして迎えた試合前夜、グリフィンドールの談話室では試合に向けた準備が着々と進められていた。シェーマスやディーンは大きな横断幕を作り、ラベンダーとパーバティは他の女子生徒と一緒に深紅の薔薇飾りを作っている。双子のウィーズリーは笑いを取るためいつもより騒がしく踊って皆から爆笑を買っていた。ウッドは部屋の隅でクディッチの模型を杖で突ついて、作戦を何度も何度も練り上げている。

 一方、緊張で何も手につかないハリーは、クリス達と一緒にソファーに座って、箒磨きセットでファイアボルトをピカピカに磨いていた。驚いたことに、あのハーマイオニーでさえも今夜は本を手放し、ロンと一緒にボードゲームをしていた。そんな中、クリスだけがヒッポグリフについての本を読んで、控訴の為の情報収集をしていた。

「君、こんな時によく本なんか読めるね」

 半ば感心したように、ロンが言った。

「だって、他にやることも無いだろう?」
「いっぱいあるさ、明日の準備に横断幕を描いたり、ラベンダーたちと一緒に薔薇飾りを作ったり。でも君はいつも通り本を読んでる。あのハーマイオニーでさえ今日は勉強しないで休んでいるって言うのに!」
「あら、休んじゃ悪いの?だってとてもじゃないけど集中できないんですもの」
「いや、それが本来の姿なんだって。それ何にクリスは、何事も無いように本ばっかり読んでる。やっぱり君っちょっとおかしいよ」
「悪かったな、私が何をしようと勝手だろう?それに試合に負けたからって、何か変わるのか?皆がハリーを見る目が変わるのか?変わらないだろう?勝っても負けても、ハリーはハリーだ」
「変わるよ!僕がスニッチを取れなかったら、グリフィンドール皆の期待を裏切ることになる!それにマルフォイなんかに負けるなんて、絶対にあっちゃいけない!あいつがバックビークに何をしたかクリスだって忘れてはいないだろう!?」
「そ……そうだったな」

 ハリーは半分ノイローゼにかかったように見えた。その勢いに押され、クリスは体をのけ反らせた。こんなハリーは未だかつて見たことが無い。ハリーは肩で息をすると、またファイアボルトに向かい直った。ここまで追い詰められていると、逆に失敗をしそうだとクリスは思ったが、あえて黙っておいた。
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