第25章 【君が僕で、僕が君で】
何度説明しても、ドラコは信じられないと言う感じで、作業を監視していた。煎じ薬はハーマイオニーの手によって殆ど終わっていて、後はハリーの到着を待つだけだ。
床に人1人座れる位の魔方陣を2つ描き、ネビルはおっかなびっくりその上に座ってギュッと目をつぶっていた。
クリスは早くハリーが来てくれるのを待っていた。体が入れ替わっただけでも大変なのに、その上ドラコまで絡んできて、今日は厄日だとクリスは何度目か知らないため息を吐いた。
そこに、やっと満を持してハリーが皆の待つ空き部屋にやって来た。手にはクディッチの試合でビーダーがブラっジャーという暴れ玉を吹き飛ばす棍棒を持っている。
「遅れてごめん、フーチ先生を探すのに手間取って――って、なんでマルフォイが居るわけ?」
「それはこっちのセリフだ、ポッター。まさかお前まで絡んでいるとはな!さあ、早くクリスを元に戻せ!」
「分かってるよ……ハーマイオニー、言われた通りの物を持ってきたけど、本当にこれで良いの?」
「ええ、良いのよ。さて、それじゃあ始めましょうか!クリス、そこの魔方陣の上に座って頂戴」
クリスは言われた通り、ネビルの隣に描かれた魔方陣の上に座った。そしてハーマイオニーから、先程煎じたばかりの薬を手渡された。薬は薬草を何十種類も煮詰めたような緑色の物体で、飲むのに勇気が要った。しかしこれを飲まなければ元に戻れない。クリスはネビルと――もとい自分の顔と視線を合わせた。
「良い?私が合図したら一気に飲み干して頂戴。行くわよ。3.2.1――今よ!」
ゴクッと一気に飲み干した瞬間、ハーブ独特のツンと鼻に来る感覚にむせると思った。その刹那、頭を棍棒でガツンッ!!と殴られ、クリスは気を失った。
「良し!これで手順は完璧よ!!」
「本当か!?ただ頭をぶん殴っただけの様に見えたぞ!」
ドラコは心配になってクリスの体を抱きかかえた。ハーマイオニーと一緒にネビルの頭をぶん殴ったハリーでさえも、この方法には色々と『粗』があるように思えたがあえて何も言わず、と言うか言えずに黙っていた。
それから10分位経っただろうか。ネビルと同時にクリスが目を覚ました。クリスが瞼を開けて初めて目に入ったのは、心配そうに体を抱きかかえるドラコの顔だった。