第25章 【君が僕で、僕が君で】
「え?」とネビルが声を発した瞬間、ドラコの杖から白い閃光がはしり、ロンに直撃した。ロンはグラッとよろめいたかと思うと、そのままバタンと倒れてしまった。
「クリスは僕の許婚だ、だから僕のものだ。過去も未来も今も――認めないぞ、他の男の傍に近寄るなんて事は……絶対に……」
ドラコは眼に怪しい光を灯し、ぶつぶつ言いながらネビルの腕を取った。ネビルは恐怖で涙目になりながら、誰か助けに来てくれないかと願った。すると城の方から誰かが歩いて来るのが見えた。それは――紛れもなく“自分自身の姿”だった。
「全く、薬草を摘むのにどれだけ時間がかかってるんだ?こっちの準備はもう終わって――って、ドラコ!?」
「何だロングボトム?貴様にファーストネームで呼ばれる筋合いはないぞ」
「クリス!!」
「えっ?」
ネビルは走って、今度はクリスの後ろに隠れた。ドラコから見れば、クリスがネビルの後ろに涙ながらに隠れた様に見える。しかし――今確かに、クリスはネビルの事を「クリス」と呼んだ。
ドラコはパニックになったが、ネビルのいつもと違う堂々とした態度と、クリスの女々しい態度に合点がいった。そして中庭まで響き渡るほどの大声で「ええええぇぇぇ!?」と叫び声を上げた。
* * *
「1から10までキッチリ説明してもらうからな!」
ドラコはなぜか偉そうに、腕を組んで薬の調合を見届けていた。因みにドラコによって気を失ったロンはクラップとゴイルによって医務室へと運ばれ、クリスは摘んできたハーブを持って、煩いドラコを連れて仕方なくネビルと一緒に帰ってきたところだった。
「どうして連れて来ちゃったの?」
怪訝そうな顔でハーマイオニーが言った。クリスはうんざりした顔で答えた。
「連れて行け、連れて行けって煩かったんだ。――一応説明しておくけどな、ドラコ。さっきも言ったようにネビルの大鍋が爆発したと同時にお互いの精神が入れ替わったんだって」
「うるさいロングボトム!お前には聞いていない!!」
「だから、今は私がクリス・グレインなんだって……」