第25章 【君が僕で、僕が君で】
「クリス、僕だ、君の許婚のドラコ・マルフォイだ!僕の事が分かるかい?」
「あー……もう少しで婚約解消だったのに……惜しい事をしたな」
「その憎まれ口!――間違いない、僕のクリスだ!」
ドラコはぎゅっとクリスの体を抱きかかえた。クリスは息苦しくて「ぐえっ」とカエルがつぶれた様な声を出した。ネビルの方は、ハリーに肩をささえられ、後頭部を痛そうにさすっていた。
クリスは力いっぱいドラコの体を押し返すと、立ち上がって改めて自分の格好を見た。するといつもの見慣れた制服姿に、すらっとした手足が伸びている。良かった、元の体に戻ったのだ。
「ハーマイオニー、ありがとう。お蔭でなんとか自分の体に戻ったみたいだ」
「良かったわ。もうあんな姿の2人なんて見ていられないもの」
ハーマイオニーは苦笑いをしていた。その隣で、ハリーも顔を引きつらせながら苦笑していた。クリスもネビルも知らない。お互いが入れ替わっていた方が、より自身の魅力を引き出せると言う事を……。
それ以来『魔法薬学』の授業では、ネビルのサポートとして、クリスとハーマイオニーの2人がつく事になった。またあんな惨事が起こっては堪らないからだ。
しかし、クリスもハーマイオニーも、ネビルを行動を始終見ているわけにはいかない。自分達の作業だってあるのだ。
そしてある日、2人がちょっと目を離した隙に、ネビルが一定以上の量のトリカブトの粉末を入れてしまい、大爆発が起こった。その後何があったのかは――――神のみぞ知る。