第25章 【君が僕で、僕が君で】
3人は混乱していたが、どうにかして入れ替わってしまった体をもとに戻さないといけない。幸い今日は土曜日で午後の授業は無い。
ハーマイオニーは下を向いて何か考えていた様だったが、パッと顔を上げてクリス――もといネビルの手を取った。
「任せてちょうだい、私以前に精神が入れ替わってしまった人の本を読んだ事があるの!確か図書館にあるはずよ。それを読めば2人の体は元に戻るはずだわ!」
「ありがたいがハーマイオニー、それは私に言ってくれないか?ネビルより私と作業をした方が効率が良いだろう」
「え?あ、そ……そうよね、今クリスの体はネビルの体なのよね」
「あぁ~、もう!ややこしいなあ」
ロンが頭を抱えて叫んだ。無理もない、こんな事態初めてなのだから。とにかくハーマイオニーとネビルの体をしたクリスは、急いで図書館に行く事になった。ハリーとロンとクリスの体をしたネビルは、2人の荷物を一旦談話室に戻すことになった。
2人が駆け足で廊下を走って行ってしまうと、ハリーとロンは2人分の荷物を持って教室を出た。しかしネビルがいつまでたっても教室から出ようとしない。ハリーはどうしたのかと尋ねた。するとネビルは恥ずかしそうにもじもじしている。
「なにしているんだよ、ネビル?」
「だって……僕、スカートなんて初めてはいたし……なんだか足がスース―して恥ずかしい……」
「何言って――」
そこまで言って、ロンは口をつぐんだ。普段の不遜な態度のクリスの姿を見慣れていた所為で忘れていいたが、クリスは、本当は超が付くほど容姿端麗なのだ。そんな彼女が今や恥ずかしさに頬を赤らめ、内股でもじもじとスカートを押さえ、目にはうっすらと涙を浮かべ上目遣いでこちらを見ている。これは――!!
(やばい、クリスが超可愛い!?)
(いや、でも中身はネビルのはずだから、本来なら男なんだよな!?)
(僕達、男相手に可愛いと思ってる!?)
(いやいや、でも外見はクリスなんだから可愛いと思っても良いんじゃないか……?)
「2人とも、何ヒソヒソ話し合ってるの?」
「「なっ、何でもないよ!!」」
男2人が開いてはいけない扉を開きかけているとも知らず、ネビルは不思議そうに頭をひねっていた。