第25章 【君が僕で、僕が君で】
「災難だったな~、ネビル」
「まあ減点されなかっただけマシじゃないか」
帰り際、ディーンとシェーマスが声をかけた。違うと言いたかったが、またもネビルが口を塞いで邪魔をした。ネビルはこの珍事を必要最低限の人間にだけにしか教えたくないらしい。やっとハーマイオニーがこちらにやって来ると、ネビル、と言うよりクリスの体は涙目になってハーマイオニーにすがり付いた。
「助けて、ハーマイオニー!」
「え?助けるって、何を?」
突然親友に泣き付かれて、ハーマイオニーは困惑した表情を浮かべた。無理もない、クリスが涙目でハーマイオニーにすがり付いた事なんてこの3年間で1度も無かった。それを傍から見ていたハリーもロンも、驚いた表情でクリス――もといネビルを見ていた。
「どうしたのクリス?」
「何か悪い物でも拾って食べたの?」
「失礼な、私はそんな悪食じゃないぞ」
ネビルの姿をしたクリスが答えると、ハリーとロンは目を白黒させた。いったい何が起こっているのか分からず、ネビルとクリスを交互に見ていた。
クリスは目に涙を溜めてハーマイオニーにすがり付いているし、ネビルは腕を組んでため息を吐いている。どこかで見たことある様な仕草に、もしかして……と、3人はある仮説を立てていた。誰も言い出さないなら、自分から話そうとクリスはため息交じりに打ち明けた。
「感づいているかもしれないが、ハッキリ言おう。私とネビルの体が入れ替わってしまったんだ。多分さっきの爆発の所為だと思う」
「え?」
「ええっ?」
「なんですってぇ!!?」
3人はあるまじき事態に、驚きと混乱を見せた。ネビルとクリスを指さして、ぱくぱくと口を動かしている。どうやら言葉も出てこないらしい。ネビルは「助けてよ~、ハーマイオニー」と情けない声を出した。しかし声の主はクリスなので、クリスが突然しょぼくれた様にしか見えなかった。よりによって性格が真逆の2人が入れ替わった事に、ハリーもロンもハーマイオニーも驚きを隠せなかった。
「じゃあ、貴女がネビルで……貴方がクリスなわけ?」
「残念ながらその通りだ」
「うわっ、自信満々なネビルって気持ち悪い」
「酷いよ~、ロン」
「うっ!情けないクリスって初めてみる」
「悪かったな」