第25章 【君が僕で、僕が君で】
一方その頃、図書館ではハーマイオニーとクリスが懸命に精神を入れ替える方法が載った本を探していた。
「ハーマイオニー、本の題名は覚えていないのか?」
「それがさっぱり。まさかこんな事が起こるなんて思ってもいなかったもの。ただ軽い読書のつもりで読んだだけだったから」
「ははは、軽い読書ね……」
人の精神を入れ替える方法が載っている本を、軽い読書と言えるハーマイオニーが心底凄いと思った。クリスはハーマイオニーの言った通り「多分この辺りだと思う」という棚を片っ端からさらっていった。しかし探している本は見つからず、思わずため息が出る。
と、その時、見慣れた制服姿の女の子を見付けて、クリスは手を止めた。見るとロンの妹のジニーが、背伸びをして本を取ろうとしている。しかしあと少し身長が足りない。クリスは脚立を持ってジニーの隣に行くと、お目当てであろう本を代わりに取ってあげた。
「ほら、この本だろう?」
「え?あ、うん……そうよ。ありがとう」
「礼ならいいよ。それより無理せず今度からは脚立を使った方が良いぞ」
そう言って、クリスはまた本を探す作業に戻った。その姿を、ジニーはボーっと見つめていた。
「あらジニー、ここで何しているの?」
「あっ、ハーマイオニー!ねえねえ、今日のネビルってちょっと変わってない?」
「えっ!?ど、どこが?」
「なんて言うか……こう、優しいだけじゃなくて……少し男らしいっていうか、凛々しいっていうか……」
それを聞いて、ハーマイオニーは吹き出しそうになってしまった。普段のネビルがどう見られていたか知らないが、言うに事欠いてクリスの精神が入ったネビルを男らしいだなんて。
きっと本人が聞いたら怒るに違いないが、確かにいつもと違い背筋を伸ばし、凛としたたたずまいのネビルはいつもより凛々しく見える。一瞬ハーマイオニーでさえ目を奪われそうになったほどだ。
(何考えてるの!?私ったら、相手はクリスなのよ!!)
「どうかしたか、ハーマイオニー?」
「いいえっ!何でも無いわ!」
「……まあ、なら良いが」
不思議そうに首をかしげるクリスに、このことは絶対に悟られてはいけないと思うハーマイオニーだった。