• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第3章 【Fast contact】


 落ち込むハリーに、クリスはなんて声をかけてやれば良いか分からなかった。
 ホグズミードと言えば、100%魔法族が住まうイギリスでも有名な町だ。ホグワーツでは3年生になると週末に町まで遊びに行く事が出来る。普段は寮生活で娯楽の少ないホグワーツ生にとって、日頃のうっ憤を晴らすとっておきの機会だ。良い慰めの言葉が浮かばず、咄嗟にクリスは話を変えることにした。

「ところでハリー、宿題はもう終わったのか?」
「まだだけど、クリスは?」
「私もまだ全部は終わってないんだ。良かったら二人でやらないか?」
「OK!僕、魔法薬学で分からない所だらけだったんだ」
「魔法薬学か、任せておけ。いま荷物を持ってくるから10分だけ待っていてくれ」

 クリスはもう一度漏れ鍋まで戻ると、家に帰って荷物を持ってきて、また漏れ鍋へと戻っていった。そしてハリーの待つカフェ・テラスへ行こうとした時、漏れ鍋の柱に張り紙がしてあるのに気付いた。それは魔法界随一の監獄、アズカバンから脱走した囚人を知らせる張り紙だった。

「何々――シリウス・ブラックがアズカバンから脱走。捕まえた者には……1000万ガリオン!?」

 クリスはそれを見て思わず興奮した。それだけのお金があれば、一生遊んでいける。それたけじゃない、親同士が決めた婚約も破棄できるかもしれない――と、そこまで考えて、クリスは考えを改めた。
 シリウス・ブラックと言えば、『例のあの人』の右腕とも言われている人で、1度の呪文で13人もの人間を殺した極悪人だ。そんな極悪人を、13歳の魔女がどうやって捕まえることが出来る。クリスはハアッとため息を吐くと、ハリーの待つカフェ・テラスまで直行した。

 それから1週間、クリスはハリーと夏休みの宿題を終わらせる為に、毎日ダイアゴン横丁へ通った。それぞれ得意な科目を教えあって、時にはフローリアン・フォーテスキュー・アイスクリーム・パーラーで、主人のフォーテスキューさんに魔法史を教わりながらアイスを食べた。クリスは、こんな楽しい夏休みは初めてだった。
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp