第25章 【君が僕で、僕が君で】
「また貴様か、ロングボトム!あれほど薬草を入れるのは十分に薬を煮詰めてからだと言っただろう!!」
「ひいっ!ごごごごごめんなさい!!」
「……何故ミス・グレインが謝る?」
「「えっ?」」
煙のはれた教室で、初めて目にしたのは……他の誰でもない――自分の顔だった。
「クリス?」
「ネビルか?」
お互いがお互いを指さし、混乱した頭で考えた。これはまさか……ネビルと自分の体が入れ替わってしまったのか!?クリスは自分の体を見た。いつも見慣れた制服ではなく、男子の制服を着ているではないか!しかも体は少し肉付きの良いぽっちゃりとした体になっている。ショックで、クリスは再び眩暈がしてきた。
「ロングボトムは飛び散った薬を拭きとれ!ミス・グレインは自分の調合に戻るんだ、今すぐ!」
「ちょっと待ってください先せ――むぐ……」
こうなってしまってはどうしようもない。スネイプに助けを求めようとしたクリスだったが、ネビルがクリスの口を塞いだ。
(お願いだよクリス、この事スネイプ先生には言わないで!)
(何言ってるんだ!この状況が分かっているのか!?)
(これ以上減点されたくないんだよ、お願い!もとに戻る方法はハーマイオニーにきいてみようよ、ね?)
(そんな事言ったって――)
「何をモタモタしているのかね?ロングボトム。グリフィンドールからもうどう10点減点しても吾輩は構わないのだが……」
ネビル――もといクリスは理不尽さを感じながら、ネビルが吹き飛ばした薬を雑巾でふき取り始めた。クリスの体をしたネビルは、爆発こそさせなかったが、クリスが半分以上完成させていた薬の調合を間違え、スネイプが摩訶不思議そうに訝しんでいた。やっと吹き飛ばした薬を拭き終わったと思ったら、授業が終わるベルが鳴った。
「薬が出来上がったものは小瓶に入れて提出しろ。ロングボトムは――薬が無いから0点だ。以上、解散」
「待って下さいスネ――」
「だから、言わないでったら!!」
自分の体に邪魔されるというのも不思議な体験だったが、体が入れ替わってしまった今、頼りになるのはスネイプだけだと思っていたクリスは、またもネビルに邪魔され、その間にスネイプは教室を出ていってしまった。