第20章 【チョコチップクッキー】
「つまり、君は僕と仲直りがしたいと言いたいのかい?」
「まあ……端的に言うとそうだ」
「……分かった。パンジー、グラップ、ゴイル。クリスと話があるから先に談話室に戻っていてくれ」
「ドラコ!こんな女のどこが良いの!?いっつも貴方に我儘ばかり言って困らせてばかりいるのに!!」
「それは僕とクリスの問題だ。良いから2人きりにさせてくれないか?」
そう言われては、パンジーも引き下がるしかない。恨みがましい目つきをしながら、グラップ達に連れられてパンジーはその場を後にした。
「さて、教えて貰おうか?いったいどうして突然仲直りなんて言い出したんだい?」
「ルーピン先生に言われたんだ……私を助けてくれる人は沢山いるから、その人達を大切にしなさいって」
「ハッ、つまりルーピンの言いなりってわけか。悪いがそれじゃあ仲直りとは言えないな」
ドラコは鼻で笑った。確かにそうだ、ルーピン先生に言われたから仲直りしましょう、じゃ本当の仲直りとは言えない。クリスは考えた。今までどうやってドラコと仲直りしてきたんだろうと。そして、やっと思いついた。これに懸けるしかない!
「分かった、それじゃあこの件は無かった事にしよう。時間を無駄にさせたな、それじゃあ」
「ま、待った!」
踵を返そうとした足を、クリスは止めた。本当になんて自分は性格が悪いのだろう。自分が引けば、ドラコが追いかけて来る事を過去の経験から予測していたのだ。心の中で、クリスは笑った。正に計画通り。
「――分かった、仲直りしようじゃないか」
「よし、そうしよう」
難しい事ではなかった、これで無事解決だ。それじゃあ、と、クリスは今度こそ図書館に行こうとした。が、ドラコがクリスの手を取って引き留めた。
「まだ何か用か?」
「これ……まだ欲しいかい?」
そう言いながら、ドラコはローブから小さい箱を出した。それは、ホグズミードでドラコが買ってくれた指輪の箱だった。あんな態度をとったのに、まだ大切に持っていてくれていたのかと思うと、クリスは胸の奥が熱くなってくるのを感じた。てっきり店に返したか、パンジー辺りにあげてしまったと思っていたのに。