第19章 【お節介焼きのハーマイオニー】
「どうしたんだ?スキャバーズ……」
「絶対ストレスだよ!あのバカでかいオレンジ色の毛玉がコイツを狙わなきゃ良いんだけど!」
ロンは引き出しからタオルを取り出すと、大切そうにスキャバーズをそこに寝かせた。それを見ると、まるでもうすぐスキャバーズは息絶えそうに思えた。昔からロンはスキャバーズの事を「無芸大食のデブネズミ」と罵っていたが、もしスキャバーズが死んでしまったら、どんなに悲しむだろう……。
その日はクリスマスだと言うのにピリピリしていた。ハーマイオニーは、ロンがクルックシャンクスを蹴とばそうとした事に腹を立て、ロンはロンで、クルックシャンクスがまたもスキャバーズを狙って襲い掛かってきた事を許さなかった。
仕方なく、ハリーとクリスは黙って贈られてきたプレゼントを眺めていた。ホグワーツでマグルの製品が使えないのは、誠に残念だった。が、ホグズミードに行けば問題なく使える。それを思うと笑みがこぼれた。
それからやっと朝食の時間が来て、4人は大広間に行った。大広間では、各寮のテーブルは脇に片付けられ、代わりに中央のテーブルに食器が12人分用意されていた。既に校長のダンブルドア、マクゴナガル、フリットウィック、スネイプ、スプラウトが席に着いていた。それからかび臭い燕尾服を着たフィルチに、緊張で卒倒しそうなレイブンクロー生と、ムスッと怒ったスリザリン生が1人ずつ座っていた。
「メリー・クリスマス!」
4人が大広間に入って来ると、ダンブルドアはニコニコ笑って立ち上がって挨拶を始めた。
「折角の祝いの席じゃ、皆そろって食事をした方が良いと思っての。さあ、人数は少ないが大いに楽しもうじゃないか!」
ダンブルドアがそう言うと、たちまち金の皿の上にご馳走が出て来た。ダンブルドア校長は、楽し気にクラッカーを取り出すと、スネイプの方に紐の端を向けた。
スネイプは嫌々ひもを引っ張ると、なんとハゲタカのはく製がのった真っ赤な三角帽子が現れた。こんな場面で“あの帽子”を取り出すとは、流石はダンブルドア校長だ。例のネビルのおばあちゃんの格好をしたボガートを思い出し、ハリー、ロン、クリスは笑いを堪えるのに必死だった。スネイプがムスッとして帽子をダンブルドアの方に押しやると、校長は楽しそうに自分の帽子を脱いで、上機嫌でハゲタカのはく製のついた帽子を被った。