第19章 【お節介焼きのハーマイオニー】
「どっどっどどうしたの、クリス?」
「何か変な物でも食べた?」
「ふっふっふ、聞いて驚くな。なんと『悪戯仕掛人』からプレゼントが届いたんだ!!」
「「えっ?『悪戯仕掛人』から?」」
クリスの突拍子も無い発言に、ハリーもロンも、先程のハーマイオニーと同じように口をあんぐりと開けた。そして何を思ったのか、1テンポ遅れてロンがポンと手を叩いた。
「分かった、ハリー。その『ファイアボルト』を贈ってくれたのは、クリスと同じ『悪戯仕掛人』だ」
「ファイアボルトですって!?」
今度は、一足遅れて入って来たハーマイオニーが驚く番だった。ハーマイオニーはつかつかと部屋に入って行くと、包み紙からやぶられ、ハリーの手の中で燦然と輝くファイアボルトをじっくりと見た。
「どうしてハリーやクリスの所に、本人たちが望んで止まない物が届くわけ?おかしいと思わない?」
「知らないけど、それが『悪戯仕掛人』達の楽しみなんじゃないか?『慈善事業』っていうの?あ~、こう言っちゃなんだけど……ハリーには両親がいないし、クリスには母親がいない」
「だから、どうして『悪戯仕掛人』がそれを知っているのよ!そっちの方が不思議でしょ!?もう何年も前に卒業していった人達よ?」
その時、空いていたドアからシュッとオレンジ色の物体が入って来た。クルックシャンクスだ。クルックシャンクスはロンの懐を目がけて一直線に飛びかかった。
「コイツを!ここから!追い出せっ!!」
ロンは懐を抑えて、クルックシャンクスを蹴とばそうとした。しかしクルックシャンクスはそれをひらりと避け、ロンのパジャマを引き裂き、スキャバーズは必死になってベッドの下に逃げ出した。
ハーマイオニーはベッドの下を覗き込んでいるクルックシャンクスのお腹を捕まえると、スキャバーズを捕まえようと暴れるクルックシャンクスを抱いて男子寮から出ていった。
ロンはベッドの下に手を突っ込んで、スキャバーズの尻尾を捕まえると、無理矢理引っ張り出した。スキャバーズはかつての丸々太ったデブネズミではなく、所々毛が抜け痩せ細ったみすぼらしいネズミになっていた。