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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第19章 【お節介焼きのハーマイオニー】


 取りあえず振ってみたが、変な音はしない。気になって開けてみると――なんと、なんとクリスが以前から欲しがっていた、イヤホン付き小型ラジオが入っていたではないっか。しかも気の利く事に電池まで付いている。これによって、クリスのテンションは一気に最高潮に達した。

「Yaaaaaaaaaah!!! It's a Raaaaaaaaaadioooooooooo!!!」
「どっ、どうしたのクリス!!?」

 今まで見たことも無いクリスのテンションの上がりっぷりに、ハーマイオニーは驚きを隠せなかった。クリスはラジオを箱ごと掲げて、ベッドの上でピョンピョン飛び上がっていた。それを抑えるのに、ハーマイオニーは何度も「落ち着いて!」と叫んだ。

「何があったの?」
「見てくれハーマイオニー!ラジオだ、私宛にラジオが送られてきたんだ!!」
「誰から?ウィーズリーおじさん?」
「いや違う、誰だかは知らない」

 まるで知人に対するすれ違い際の挨拶の様に、警戒心の欠片も無くさらっと言うクリスに、ハーマイオニーは驚いて口をぽかんと開けた。

「だ、誰だか知らないですって?それって……それって大丈夫なの?カードとか、手紙とか入ってなかったの?」
「う~ん……カードって、これの事か?」

 クリスは一枚のカードをハーマイオニーに見せた。そこには『メリー・クリスマス byパッドフット』と書かれ、犬の手形が捺してあった。犬と言えば、夏休みに襲われた大きな黒犬の事を思い出した。そう言えばあいつも家電カタログをじっくり見て、クリスの欲しがっていたラジオの話しに耳を傾けていた。それにパッドフットと言えば『悪戯仕掛人』と同じ名前だが、ハリーが持つ『忍びの地図』と何か関係があるのだろうか。

「ハリー達の所に行ってみよう。きっと『悪戯仕掛人』から同じようにプレゼントが届いているかもしれない」

 言うが早いか、クリスはパッと身支度を済ませて急いで男子寮まで駆けていった。その後ろを、ハーマイオニーが追う。クリスは上機嫌で「メリー・クリスマス!!」と叫びながらハリー達の部屋に入った。あまりの上機嫌さに、ハリーとロンはまるで別人を見るような目つきだった。
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