第19章 【お節介焼きのハーマイオニー】
「はいはい、お喋りはそこまでにして、各自作業にかかりましょう」
ハーマイオニーがパンパンと手を叩いて、その場を打ち切った。
クリスは何か良い文面が思い浮かばないか頭をひねった。おじ様の性格を考えると、反論するよりも寧ろ同調した方が良いに決まっている。それでいてかつ、話しをなんとかバックビークが危険生物処理委員会にかける程危険ではない生物だと訴えなければいけない。クリスは手紙を何度も、何度も書き直し、一夜が明けた頃やっと手紙が完成した。
「よし!出来た、これで良いだろう」
早速#NAME4人は#を呼ぼうと、クリスは窓を開けて指笛を吹いた。ふと気づくと、皆分厚い本に頭を持たせかけて眠っている。ハリーなんて二晩徹夜したようなものだったから、さぞ疲れただろう。クリスはローブを脱いでハリーの肩に掛けた。
皆の寝顔を眺めていると、ネサラがやってた。相変わらず迅速で頭の良い使い魔だ。クリスはネサラに手紙を託すと、1人寝室に戻ってルーピン先生にあげるマフラーを編み始めた。編み始めてもう1か月以上になるが、やっともうすぐ出来上がる。最初はどうなるかと思っていたが、なんとかクリスマスまでには編みあがりそうだ。
「先生、喜んでくれるかな?」
クリスは、マフラーを受け取って朗らかに笑ってくれるルーピン先生の笑顔を想像して、頬を緩ませた。そしてつい、うとうとして、そのままベッドで眠ってしまった。
夢の中で、クリスはあの光の花畑の中にいた。誰かがこちらに近づいてくる気配がして振り向くと、光の中で誰かがこちらをジッと見ている。クリスはルーピン先生だと思い、走り出した。しかし足が思うように進まず、しかも影はだんだんと遠くなっていってしまった。
(待って、おいていかないで……)
声にならない声でそう叫ぶと、今度は反対側から光が差し込んできた。その光の袂から、聞いたことのある優しい声が聞こえる。あの声は――
「――クリス、起きて、ねえクリス」
揺さぶられて、クリスは目を覚ました。クリスはボーっとする頭を振って混乱していた意識を現実に引き戻した。