第19章 【お節介焼きのハーマイオニー】
本当はこんな気分になるために、ハグリッドのもとを訪れたわけではなかった。しかし係わってしまった以上、どうにかしてバックビークを自由の身にさせなければならない。
4人は談話室であれこれ話し合った。幸いクリスマス休暇で、話しを聞いている他の生徒は誰もいない。クリスは約束通りルシウスおじ様に手紙を書くことになったが、ドラコと喧嘩している今、どれ程この手紙が効力を持つか分からない。他の3人は図書館に行って、資料になりそうな物を片っ端から集めて戻ってきた。
「何か良い資料は集まったか?」
「取りあえず、持てるだけ持って来たわ。そっちは?何か良い文面が浮かんだ?」
「それが……おじ様は1度言いだしたら聞かない性分で、何を書いたら良いか迷っているんだ。それに今はドラコとも喧嘩中だしな」
「そもそも、どうしてマルフォイと喧嘩したの?」
ハリーの質問に、クリスはピタリと手を止めた。何故喧嘩になったのか、自分でも良く分かっていない。ホグズミードを一緒に歩いていた時は、ドラコに対して何の嫌悪感も無かった。ただ――あの指輪を買ってもらった時、何故か体中を渦巻くような怒りが湧いたのを覚えている。
「う~ん……まず最初に『叫びの館』に行って、それから『三本の箒』でバタービールを飲んで、それからパンジー・パーキンソンお勧めの喫茶店に入って――」
「分かった!そこで喧嘩になったんだろう?」
「いや、店内は最悪だったが、味は絶品だった。――それからパワーストーンを扱っている店に入って、指輪を買ってもらって……」
「それから?」
「それから……指輪をはめて貰おうとしたら、いきなりドラコに対する怒りが湧いてきて……」
そうだ、それから買ってもらった指輪をはめて貰おうとしたら、突然ドラコに対する怒りが湧いてきたんだった。しかし、何故そこで怒りが湧いてきたのか、自分でも良く分からない。ただ、もの凄く抑えきれない程感情が高ぶったのを覚えている。
「そうか!つまり君はマルフォイに触られるのも嫌だったわけだね」
「う~ん。うん、まあ、多分そうだと思う」
ロンの結論に、クリスは曖昧に答えた。その前から手をつないだり、頬っぺたをつねり合ったりしているので、触られて嫌な気がしたとは思えなかったが、他に理由らしい理由も浮かばなかったので、そう言う事にしておいた。