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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第18章 【ナミダ・ナミダ・ナミダ】


 堪りかねてロンが怒鳴った。今やもう冷静なのはクリスただ1人だった。ハーマイオニーは泣きじゃくり、ロンは顔を真っ赤にして怒り、ハリーは噛みつく勢いでわめいている。

「マルフォイ一家はブラックがヴォルデモートの手下だった!だから知ってて当然なんだ!」
「そしてマルフォイは、君がペディグリューみたいにブラックを追って殺されるのを待ってる!しっかりしろよハリー!それこそ『例のあの人』達の思うつぼだ!!」
「お願いよハリー、冷静になって!彼方が命を落としたりしたら、ご両親はなんて思うか!」
「両親がなんて思うかなんて、誰だって一生分かる事は無いんだ!その前に、ヴォルデモートに殺されたんだから!!」

 バーーン!!――という大きな爆発音が談話室に響いた。驚いたハリー、ロン、ハーマイオニーが振り返ると、クリスの杖からシューっと煙が出ていた。よく混乱した生徒達の注意を引きつける為に、ダンブルドアが杖から音を出すのと同じだ。

「さあ、皆、少しは冷静になったか?」

 先ほどとはうって変わって、静かすぎるほどの沈黙が辺りを包み込んだ。3人とも突然の事に呆然としている。クリスはふーっと腹の底からひねり出すように深く息をを吐いた。

「みんな少しは目が覚めただろう。これでまだ何か言い足りないなら、今度は実力行使に出るぞ。――とにかく、ハリーは少し休め。暖かいものでも飲んでゆっくりしたら、少しは考えも変わるだろうよ。それにロンとハーマイオニーはこれ以上ハリーを刺激するな。2人がブラックの話題を持ち出せば持ち出すほど、ハリーは躍起になるんだから」

 珍しく、本当に珍しくクリスが真っ当な事を言っていた。3人は頷くと、暖炉の周りに座ってそれぞれ宿題をしたり、本を読んだりして、なるべくいつもと同じ様な時間を過ごした。
 時間はのんびりと進み、ようやく昼食の時間がやって来ると4人で大広間へ行った。教職員テーブルにはダンブルドア校長の他に、マクゴナガル先生とフリットウィック先生、それにスプラウと先生、スネイプ先生しかいなかった。ルーピン先生が居ないことに、クリスは少々肩を落とした。

 先生は実家に帰ってしまったのだろうか。折角クリスマス当日にマフラーを渡したかったのに、これでは計画が丸つぶれだ。クリスは何度目かのため息を吐きながら昼食をとった。
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