第2章 【Dog days】
「そしてこれ!これは『ラジオ』といって、映像は無いがマグルの声や歌を直接聞くことが出来るんだ!しかもこれは電気がいらない、電池だけで動かすことが出来る優れものなんだ!どうだ?マグル製品はすごい物ばかりだろう!?これ全部、魔法無しで動くんだぞ!!」
カタログを開いている間、犬は大人しく座って聞いていた。誰かとこんな風にマグル製品で語り合った事のないクリスは、大興奮だった。
もう人だろうが獣だろうがクリスにとっては関係が無かった。友人のハリーとハーマイオニーはマグル育ちだから、今更マグル製品には驚かないし、興味もない。ロンは父親がクリスと同じマグル製品愛好家のくせに、マグル製品には全く興味を示してくれない。ドラコなんてマグルの「マ」の字さえ聞けば耳をふさぐような奴だ。
そんな中、この犬だけが初めてクリスの話しを黙って聞いてくれている。クリスにはそれがとても嬉しかった。
「今は煩い屋敷しもべと父様に止められているから手に入らないけど、いつか大人になったら絶対にこれら全てを手に入れてやるって決めているんだ!少々値段は張るが、大人になって働けるようになったら絶対に買ってやる!!」
「ワオン!」
「おお!お前にもマグル製品のすばらしさが分かるのか!」
クリスは感動して、犬の頭をこれでもかというくらい撫でまわした。犬の方も嬉しそうにクリスの頬に鼻をすり寄せる。その愛嬌ある仕草も相まって、クリスは完全にこの犬が気に入った。
「よし、決めた!お前を家で飼ってやることにしたぞ!そうしたらもう、人を襲う心配もないしな。そうだな……名前は何が良いかな……」