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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第2章 【Dog days】


 何か良い名前は浮かばないかと、黒い犬をじーっと眺めて考えてみる。その間、犬はお座りをしたまま舌を出して「ハッハッハ」と少し苦しそうに呼吸をしていた。
 あれだけの食料を一気に平らげたのだ。確かに喉も乾くだろう。それに加えてこの暑さだ。犬だけでなく、クリスも少し喉が渇いてきた。

「うむ、その前に水だな。よし、少し待っていろ。今水を持ってきてやる」

 そう言い残し、クリスはまた屋敷に走って戻っていった。小うるさいチャンドラーは、まだ掃除の途中らしい、パッと見たところ、姿はどこにも無い。厨房でまずはコップ一杯の水でのどを潤すと、水差しと皿をもって森へと戻っていった。

「待たせたな、今水をもって――」

 しかし、戻ったところにあの黒い犬は居なかった。辺りを探してみても、毛の一本も落ちていない。カタログだけを残し、まるで幻のようにどこかへ消えてしまった。

「まさに、Dog daysだな……」
 
 頬を伝う汗をぬぐいながら、クリスはそう独り言ちた。
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