第16章 【隠されていた真実】
「あの2人にはさんざん手を焼かされました。勿論、その反面とても優秀な生徒達でもありました――カリスマ性があり、皆が皆ポッターとブラックに憧れていました」
「確かにな、でもフレッドとジョージ・ウィーズリーも中々負けてねぇぞ」
「正に双子のような存在だった!!」
「そこだ、それがいけなかった。ポッターは誰よりもブラックを信用した。卒業してもそれは変わらなかった。ブラックはジェームズとリリーが結婚した時、新郎付き添い役を務めた。それだけじゃない、2人はブラックをハリーの名付け親にしたんだ」
それを聞いて、クリスはテーブルの下にうずくまっているハリーに目をやった。ハリーは話しを聞きながら、小刻みに震えていた。そんな事は知らないファッジはさらに話しを続けた。
「結婚から間もなく、ジェームズとリリー夫妻は自分達が『例のあの人』に狙われていると知った。ダンブルドアは当時『例のあの人』と戦う為に、数多くのスパイを放っていた。そのスパイの1人から情報を聞き出し、ダンブルドアは夫妻に危機を知らせ、直ぐに身を隠すように伝えた。だが勿論『例のあの人』から身を隠すのは容易ではない。そこでダンブルドアは『忠誠の術』を2人に勧めた。それが1番安全だと考えたんだ」
「どんな術ですの?」
マダム・ロスメルタは興味津々でファッジに近づいた。ファッジはラム酒を一口飲むと、神妙な顔をしてマダム・ロスメルタを見つめた。
「恐ろしく難しい術ですよ。1人の生きた人間の中に秘密を魔法で閉じ込める。選ばれた者は『秘密の守人』となり、情報を自分の中に隠す。そして『秘密の守人』が口を割らない限り『例のあの人』はジェームズとリリーの隠れている場所を特定することはできない。例え2人の住んでいる家の窓に鼻先を押し付けたとしてもね」
「それじゃあ、ブラックがポッター夫妻の『秘密の守人』になったんですの?」
マダム・ロスメルタが質問すると、当時を思い返すように、ファッジに代わりマクゴナガル先生が厳しい口調で話し始めた。