第16章 【隠されていた真実】
「ええ、お噂はかねがね。そのお蔭で店にディメンターが2回も探し回りに来て……皆怖がって商売あがったりですわ」
「ロスメルタ……私だって連中が好きではない。しかし用心に越したことはない、ついさっきも連中に会ってきた。ダンブルドアに猛烈に怒っていてね、校長が城内に連中を入れないから……」
「当たり前です!!」
マクゴナガル先生が雷の如く鋭く言った。それは授業の時に聞くものとは違った恐ろしさがにじみ出ていた。
「あんな連中にウロウロされては、私達、満足に教育が出来ません!」
「全くもってその通り!」
フリットウィック先生のキーキーした声が、マクゴナガル先生の意見に同意した。するとファッジはますます身を小さくして呟いた。
「しかし、それ以上危険な奴がこの近辺にはびこっているんだ。知っていると思うが、ブラックは『例のあの人』の側近だったわけだし……」
「私、未だにそれが信じられませんわ」
マダム・ロスメルタがその脚線美を組み替えながら言った。その途端、ロンが思わず生唾をゴクリをと飲み込んだので、またしてもハーマイオニーに足を踏まれていた。
「誰が『例のあの人』に加担しようと、あのシリウス・ブラックだけはそうならないと確信しておりましたもの。学生の時のシリウス・ブラックと言ったら、明るくて、活発で、皆の人気者で……」
「それはシリウス・ブラックの半分しか知らんからだよ。奴の最悪の仕業はあまり知られていない」
「最悪の仕業?なんですの、それ?」
マグルを含め、13人もの人間を一気に殺したこと以上、最悪の仕業なんてあるのだろうか。4人はドキドキしながら大臣達の話しを聞いた。
「ブラックがまだホグワーツ生だった頃を覚えているかい?」
「ええ、勿論ですとも」
「あの子の1番の親友が誰だったかも覚えていますよね?」
「忘れられませんわ、あんなに仲の良かった2人組は中々見られませんから。ここにもしょっちゅう来ていましたわ。親友のジェームス・ポッターと」
その時、ハリーがジョッキを落として割れた音が店内に響いた。その所為で、ハリーは3人から足蹴にされた。しかし先生達は話に夢中で、こちらにまで気が回らなかったらしい。正に危機一髪。