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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第14章 【Shit】


 クリスは先生の体調が心配だったが、他の皆はルーピン先生が休みの間、スネイプが教鞭をとり、どんなに酷い授業だったか告げ口する方が大切みたいだった。

「本当に酷いんです、いきなりやって来て、まだやっていない所から質問するし!」
「ハーマイオニーが知っていて手をあげてても、無視して減点するんです!!」
「僕らまだ、狼人間なんて知らないのにっ!」
「宿題に羊皮紙2巻も出したんです!!」

 生徒達の不満を聞いて、先生は眉を寄せて難しい顔をした。

「本当かい?スネイプ先生が、君たちにいきなり狼人間について宿題を出したのかい?」
「そうなんです!!」
「僕たちまだ習ってないって言ったのに!」
「羊皮紙2巻もですよっ!!」

 不満をぶちまる生徒達に、ルーピン先生はニッコリ笑った。

「分かった、宿題はしなくていいよ。私からスネイプ先生に言っておこう」
「そんなぁ!私、昨日3巻分も仕上げたばっかりだのに!!」

 先生の話しを聞いて、今度はハーマイオニーがガッカリした声を上げた。

 久しぶりのルーピン先生の授業は、やはり面白かった。今日はピンキーパンクという、ガラス箱に入った妖精を持って来ていた。この妖精は、1本足でピョンピョンと跳ね、鬼火の様にゆらゆらと燃えていた。

「この妖精は一見害が無いように見えるが、手にしたカンテラで人を惑わせ、沼地に誘い込んでは沼に落っことすんだ」

 先生の言葉を一言も漏らさない様、クリスはいつもの授業より耳を3倍は大きくして聞いた。そしてみっちりと説明を羊皮紙に書き込んでいると、いつの間にか楽しい時間は過ぎ去り終業のベルが鳴った。皆カバンに荷物をまとめ、いつも通り昼食をとりにハリー、ロン、ハーマイオニー、クリスの4人は仲良く席を立ったが、ルーピン先生がハリーだけに声をかけた。

「ハリー、悪いがちょっと残ってくれないか?」
「は……はい」

 すぐに大広間に行くから、と言ってハリーは皆と分かれた。クリスは、ハリーがまたルーピン先生と2人きりになった事に嫉妬していたが、ロンが「男に嫉妬して何になるんだよ」と言った。
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