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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第12章 【ハロウィーンの恐怖】


 ハーマイオニーに急かされて、4人はバタバタと階段を下りて大広間へと向かった。大広間は、ハロウィーン仕様に模様替えされており、宙に浮かぶ蝋燭はいつもと違う、くり抜いたカボチャのランタンに変わっている。そしてその間を、何百というコウモリが列を組んで飛び交い、壁はいつもと同じ寮ごとの大幕ではなく、オレンジ色の布が煌めいていた。
 生徒が全員席に着くと、ダンブルドア校長が立ち会がった。

「今日はハロウィーンじゃ、皆おおいに楽しんでくれ」

 それを合図に、たちまち金の大皿の上にご馳走が現れ、生徒達は皆ご馳走にしたづつみをうった。
 しかしクリスだけはルーピン先生が心配で心配で、ご馳走が喉を通らず、何度も何度も教職員テーブルに座るルーピン先生に視線を送った。すると何回目だろう、ルーピン先生を見つめていたクリスと先生と視線が、ふと合った。
 先生はクリスの顔を見ると、ニコッと朗らかな笑顔を向けてくれた。それだけで、クリスは自分の顔が真っ赤になり、一気に体温が20度位上がった気がした。お蔭で折角のご馳走も余計に喉を通らなくなり、それでもクリスは幸せの絶頂だった。

 そして幸せ気分のまま夕食の時間は終わり、全員各寮に戻る時間になった。クリス達4人は他のグリイフィンドール生と一緒になって、塔への階段を上って行った。
 しかし、『太った婦人』の肖像画の前で、皆立ち止まり、廊下でギュウギュウのすし詰め状態になっていた。

「皆いったいなにをやっているんだ!通してくれ、僕は主席だ!!」

 パーシーが胸に付けたバッジを光らせながら、人ごみをかき分け肖像画の前まで進んだ。そして『太った婦人』の肖像画の前まで来ると、顔を青ざめ大声で叫んだ。

「誰か!ダンブルドア先生を呼んできてくれ、早く!!」

 校長先生を呼ぶほどの事態なのか。クリス達は気になって他の生徒達を押しのけながら前に進んだ。そして頭越しに見えたのは『太った婦人』絵が無残に切さかれたものだった。
 当の『太った婦人』はどこかに消え去り、ハーマイオニーはショックを受けて、悲鳴を押し殺すように手で口を覆っていた。4人はもっと近くで見ようと肖像画に近づいた時、どこからともなくダンブルドア校長が現れた。そして切り刻まれたキャンバスを見て、深く息を吐いた。
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