第41章 孤独な鷹の見る夜は(信長)
盃の置いてある外廻縁に出て腰を下ろす。
真半分に割れた月。
この世は月の様だ。
明るいばかりでもない。
暗いばかりでもない。
非難不満も増えたり減ったり。
月の満ち欠けのようだ。
そうやってこの世は回る。
わかってはいる。
でも、だだ、
俺は大切なモノを見つけてしまった。
それが笑っていられれはそれで良いとも思う。
非道な魔王を人に戻す者よ。
背中に眠る華月を振り返った。
長い髪が垂れて、白い肩から背中が丸まって見える。
俺の夢……
アイツと笑顔でこの世を生きる。
のか、
アイツを残し悲しませて、
この世を変えて逝くのか……。
こんな事を考える日が来るとは思ってもなかった。
「弱味になる者は置かぬと決めておったはずだ…」
いつからこんなに大切になったのか…。
いつからこんなに愛してしまったのか……。
その柔らかな軀の温もりに……
「溺れている暇はないのにな…」
俺は嘲笑して酒をあおり、
今日も長い夜を眠らず過ごす。
眠らなければ、悪い夢は見ないからーー…。
ー了ー