第41章 孤独な鷹の見る夜は(信長)
別に殺したい訳じゃない。
戦をしたい訳でもない。
戦を好むのなら、政宗の方がそうだ。
闘い、血が流れれば興奮する。
雄の本能を剥き出しにするのは、ヤツだ。
俺は……戦など
「どうでもいいのだ…」
暗い夜空に目を向けても、
映るものも、
答えをくれるものもない。
天下を取ることを夢見た。
どんなに品行方正に礼儀正しく、
義理人情に厚くとも、
この世の人は私利私欲に塗れ、
最も簡単に人を裏切り、反旗を翻し、
謀反を起こすのだ。
人の腹の底は誰にも読めぬ。
読ませてはならぬのだ。
悲しみに涙する間があるなら、前を向け。
怒りに地団駄を踏む間があるなら、憤進せよ。
酒に酔う間があるなら、風を読め。
机上で手習いする間があるなら、自然に軀で覚えよ。
ただ、悲しむ者がいない世にしたかった。
俺の掌の中で笑って生活出来る世を作りたかった。
だから、この世のいらない者を排除する。
我に逆らう者。
民の害になる者。
それが、愚行だ、非道だ、と言われても。
激しい行いを非難する者もいれば、
ありがたがる者もいる。
俺はーー……。