第37章 幼い恋の先(三成)
優しくて優しくて…
聡明で、秀才で、強くて…
大好きな人。
少しずつ好きになって、ずっとこの人と一緒にいるのだと決めていた。
愛してしまった。
でも、私がいて、出世や羽ばたく事の妨げになるのなら……
愛する人がもっと上に行くというのなら……
「お父様…最後に一度だけ、三成様に会わせてください」
(最後にするから…そうしたら……)
「諦めますから……」
袖を濡らして、そう懇願した。
その願いから10日後、華月は三成と会った。
「華月様、今日は………」
と言って、言葉が続かなかった。
「……華月様……ちゃんと喰べてますか…」
憔悴しきって以前よりほっそりしている。
「…三成様の事を考えると……胸が痛くて…食事など……」
華月の眼から、堪(こら)えていた涙が溢れた。