第35章 死に損ないの嫁ぎ先ー前ー(元就)
俺が助けた。
俺のが世話をしてやった。
俺が女にした。
(俺が、俺が…俺がっ…!)
ダンッ‼︎
握った拳を畳に叩きつけた。
「くっそぉっ!」
あの日、あんな事言わなければ良かった。
いや、他の言葉を言っておけば良かった。
後悔か、ただの苛立ちか…
(俺、今更、勿体なくなったのか?)
考えるのは、思い浮かぶのは、
華月の笑った顔。
俺を呼ぶ時の顔、声。
懐き、慕ってくる仕草。
妹みたいで、女の華月。
(華月、華月……っ)
こんなにも、心を占めていた。
(どうしろってんだっっ)
どうすればいいのか、
どうすれば良かったのか………
(わからないよっ…元就様…)
ー前・了ー