第34章 蛇眼(カガミ)に映る真姿-R19-(信長)
「鏡を見ろ。
鏡の語源は蛇の眼だ。
瞼の無い蛇の目は光って、見続ける。
カカ(蛇)の眼は全てを明らかに映す。
カカ眼が転じてカガミとなった。
お前はこの鏡にお前自身を晒すのだ」
燃えるような紅い緋の瞳
蛇の瞳は金や赤や茶黒なのに、
どうしてこんなにも紅だと思うのだろう…
それは、毒をもつモノを連想させるからだろう。
(毒……)
緋い瞳が与える毒はーー……。
人が抗えない本能の甘い毒。
南蛮風の飾額のついた大きな鏡。
日本の和室に不似合いのようで、
妙にしっくりと、調和しているようにも思える。
「甘く蕩けた顔を自分で見てみろ」
眼の前には、鏡に映った裸の華月。
方や、信長はきっちりと着物を着ている。
ひどくチグハグで、華月は自分だけ悪いことをしている気分になる。